ホームページを自力で作って後悔した話

 

(寄稿者:Sambaダンサー Masashi)

 僕の公開しているホームページがあるが、一言で表現するなら「建て増し木造住宅」である。
はっきり言ってカッコよくない。プロに作ってもらえば洗練された「デザイナーズハウス」のようなホームページができるはずである。でも敢えて僕は自分自身の手で作ることを選んだ。
無論、資金が無かったのもあるが、自分自身のビジネスを見直す手段としてホームページの刷新を自らの手で行うことにした。

 東北の震災をきっかけに東京から家族で移住、同時にサンバダンサーとして起業して6年が経っていた。前職はIT系だったにも関わらず、その間はアナログな営業活動が中心だった。
例えば

・熊本の繁華街に行って「スーツを着ている偉そうな人」に話しかける。
・路面電車で見たイベント広告の主催者に電話してみる。
・お手製のチラシを作って飲食店や地元メディアにアポなしで突撃する。
・地元フリーペーパーに載っていたイベント情報に片っ端から電話してみる。
・公民館にお手製のレッスン開催広告を貼ってもらう。

 とにかく「僕」という存在が熊本にある事を、リアルな手段を使って広めようとした。
それなりに効果のある部分もある。しかし、僕が動ける範囲や時間、体力には限界がある。
その結果はダイレクトに月収に現れた。足りない。生活できない。
リアルに動くことを否定はしないが、その後担当してもらったコンサルから言われた言葉がある。

「ネットは時間と空間を超える」優れたホームページ一つで「リアルで使っていたエネルギー」の何倍もの告知効果がある。しかもリアルとつなげることで相乗効果がある。

「リアルマンセー」だった僕は、当初このコンサルの言葉に懐疑的だった。しかし藁をもすがる状態だったのは事実。煩わしいものに触れるように、僕が昔作ったホームページを分析した。
同時に同業者のホームページもリサーチした。
その具体的な分析結果は前回の記事に箇条書きにしてある。確認してほしい。

 一言でいうと「誰得??」というやつである。

 僕のホームページは迷走に迷走を繰り返して「前衛抽象画」のような状態になっていた。
ポエムまで書いてある!しかも英語で。一番アカンやつや!と顔から火が出た。
ありがちな間違い「ホームページ=自分の作品」にしてしまっている。趣味なら許す。
冷静なコンサルの言葉を参考にテキスト内容から見直した。ポイントは以下の通り。

サービスのベネフィットとターゲットユーザーを見定め直すのが狙い。

・サービスの棚卸し
・ターゲットユーザーは?
・その人達の悩み事は何か?
・貴方はそれどうやって、解決してあげられるか?
・なぜ?それが出来るのか?
・それをどうやって伝えるか

まずこれが纏められればセールスレター(文字情報)になる。同時になぜ自分のセールスレターがターゲットの心に刺さらなかったのかがわかる。

 重要なことなので繰り返すが、顧客は「ベネフィットが無ければお金は出さない」
さらに言うと「顧客は理由の無い行動は絶対にしない」ということである。こういったことを理解?
したうえで、いったん自分なりに考えて羅列した「ベネフィットなるもの」が以下。

・ショーの中でMCも行えます。宣伝や告知もいたします。
・他ジャンルのミュージシャン、ダンサーとも共演が可能です。
・ショーの中でステップ体験もできます。
・事前に動画を配信して、振付を伝え、一緒にショーに参加することもできます。
・全国津々浦々のサンバダンサーと繋がっておりますので、全国どこでも対応できます。
・全国のサンバミュージシャン、バンドと繋がっておりますので、生演奏も可能です。

これはありがちな間違い。同業のランディングページ(以下LPに略)を見るとこんな文章ばかり。
これはサービスの「特徴」であって、ベネフィット(効果・効能)ではない。
ベネフィットを正しくとらえ書き換えると以下のようになる。

・100パーセント、パーティを盛り上げられます。
(ベネフィット部分)

なぜならば、

・全国津々浦々のサンバダンサーと繋がっておりますので、全国どこでも対応できます。
・全国のサンバミュージシャン、バンドと繋がっておりますので、生演奏も可能です。
(根拠となるサービス特徴)

さらに、これを小学5年生でもわかるように伝える。断言するが僅かでも「解りづらい」と感じさせたら、そのLPは瞬殺である。効率よく迅速に情報を得たい顧客はじっくり内容を読んだりはしない。そこで見やすさ理解しやすさを改善するために、次に意識したのがこれ。

・いきなりLPの作りこみから入らない。
・ブロック構成で整理して作成する。
・1ブロック1要素
・自分の頭で作らない。

特に最後の「自分の頭で作らない」は重要である。自分が伝えたいことを誰でも素早く理解できるLPを作るのが目的。そのためには客観性が必要になる。具体的手段としては「解りやすく作られている他のLPの文言」を自分のサービスに入れ替えてみる。これが一番の早道。
ブロック構成とは伝えたい内容を分類してそれぞれを小段落にするイメージ。
例えば僕のLPでブロック化したのは以下のような流れ。

・つかみ(顧客の悩みへの問いかけ)「こんなことで困ってませんか?」
・動機付け(悩み解消の提案)「こんな風に解決できたら良くないですか?」
・ベネフィット
・概略・特徴
・サービス提供者の実績や権威づけ
・サービス導入後の顧客の声
・サービスの値段
・サービス提供までの流れ
・お問い合わせ先
・サービス提供者から一言

ちなみに僕はこのブロック化してLPを作るためにペライチという「ウェブ上でLPを作成できるサービス」
を利用した。このサービスは1ページだけ公開なら無料、それ以上のページを公開する場合は料金が発生するというもの。このサービスを使って都合6ページほどLPを作成した。

 その中には現在サービスを休止している物もあるので、実際に公開いしているのは3ページのみ。
そのリンクを既存のJimdoで作成したホームページの詳細ボタンに設定した。
同時に、同じ考えで既存のJimdoホームページの内容も刷新した。

 さらに将来的にはJimdoホームページとペライチLP、旧ブログも合体させて一つのホームページにするために、ドメインを取得してワードプレスで新規にブログも立ち上げた。ちなみに旧ブログはダイヤモンドブログという芸能人専門の無料ブログである。その時すでに300記事以上アップしていた。

 結果、冒頭で言ったように「建て増し木造住宅」のような構造のホームページが出来上がり、行きがかり上ワードプレスのブログとダイヤモンドブログの二つを運営することになった。

 さて、ここまで読み進めていただいて「自分でLPを作ってみよう!」と勇気づけられた方もいるかもしれない。
もしくは自分の事業運営を見直そうと思われた方も。後者が目的の方は、「他山の石」として僕の取り組みを参考にして頂ければと思う。前者の方、水を差すようで申し訳ないが、ある程度投資できる資金があるのなら、是非ホームページ作成のプロに依頼することを検討してほしい。
既に作りたいホームページやLPの内容が纏まっているならなおさらである。ホームページ制作会社とより具体的に相談ができ、最良のホームページが出来るはずである。

 僕はLP作成とJimdoホームページ刷新、ワードプレス立ち上げに膨大な時間と労力を注いだ。
ダイヤモンドブログの記事移行まで検討した。「建て増し木造住宅」を「デザイナーズハウス」にするために後どれだけの時間と労力がかかるか。それを考えたとき、手段が目的になってしまっていることに気付き現在に至っている。今は日々「建て増し木造住宅」の改善をしつつ、将来的にはプロの手にゆだねようと思っている。

 自分の事業の理想像に近づくために「ホームページ制作の目的」と「費やすリソース」そのバランスを良く検討して無理無駄のない次の一手を打ってほしいと思う。