真夏のサスペンス映画探訪

こんにちは、松野です。

さて、早速ですが前回に引き続き今回も映画のお話。
今回ご紹介する映画は、鑑賞前と鑑賞後の印象が変わる映画だと思います。

ジャンルでいえばサスペンススリラー…でしょうか。
なんというか、サブカルチャーってジャンルが細分化されすぎていてよくわからないんですよね。
ドラマ?ヒューマン?それ一緒じゃないの?
スプラッタホラー?スラッシャーホラー?それ何が違うの?みたいな。

まぁきっと言ったもん勝ちみたいなところがあるんでしょうね。
人類は一度、ジャンルマシマシ地獄から解脱した方がいい、絶対。

閑話休題

今回は比較的新しい映画。
知名度は低めですが、名優も出ていてなかなか趣のある作品です。
ゾクゾクするというよりは、ドキドキとかハラハラな感じでしょうか。
ワタシオノマトペヨクワカラナイ。

ブレイン・ゲーム

2015年のアメリカ映画。
監督はアフォンソ・ポヤルト、主演・製作総指揮は名優アンソニー・ホプキンス。
例のごとくざっくりとストーリーをまとめると、超能力者ジョン(アンソニー・ホプキンス)が旧友のFBI捜査官ジョーとその相棒キャサリンとともに連続殺人事件の解決に挑む、というもの。

まずアンソニー・ホプキンスと連続殺人事件モノという組み合わせ、これはもはや様式美。
しかも中盤以降、ジョン(アンソニー・ホプキンス)は女性捜査官キャサリンと行動を共にするのですが、その構図がまさに不朽の名作「羊たちの沈黙」を彷彿とさせます。

今にも「クラリス、子羊たちは泣き止んだかね?」とレクター博士の名言を言い出しそう…とまではいきませんが、やはりアンソニー・ホプキンスは有能でミステリアスな紳士役がハマりますね。
ただレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの口から「分析医(精神分析医)は信用ならない」っていうセリフが出たのには笑いましたが…。(笑

超能力 vs 超能力

こう書くと作品が変わってきそうですが。(笑
決して鋼鉄の爪が生える男とか、目からビームが出る男とかが出てくるわけではありません。

前述の通り、主人公のジョン(アンソニー・ホプキンス)は超能力者です。
能力的にはいわゆるサイコメトリー、人や物に触れるとその人の過去や未来、物に残った残留思念のようなものが見えるといったもの。
その能力を使って連続殺人事件の解決に挑むわけですが、ここまではまぁわりとよくある内容かなと思います。

面白いのは、実は連続殺人事件の犯人チャールズ(コリン・ファレル)も全く同じ能力を持った超能力者だということ。
しかもその能力は、主人公ジョンの能力よりも遥に強力なのです。
要は先読みの先読みをして、主人公を手玉にとってくるわけです。
基本的に主人公と敵の能力は別ベクトルというのがセオリーだと思うのですが、これはなかなかどうして。

根底に流れるテーマ

正直な話、サスペンススリラーというわりには映画自体は全く派手ではないんですよね。
カーチェイスが一瞬あるくらいで、その他は犯人との攻防も基本的に静かなものです。
しかしラストシーン、そこで明かされる真実に、ぼくはリアルに「うーん…」と声を出して考え込んでしまいました。
冒頭で鑑賞前と鑑賞後の印象が変わる、と書きましたが、それはこのラストシーンによるものです。

ちょっとネタバレにはなるかもしれませんが、クリント・イーストウッド監督の「ミリオン・ダラー・ベイビー」に根底に流れるテーマは似ているかもしれません。
描きたかったのはサスペンススリラーを通しての、ヒューマンドラマだったのかもしれません。
なんというか、観終わった後の感覚は不思議なものでした。

ただ惜しむらくは作品の出自が不遇だったこと。
調べたところによると、元々この作品の脚本は名作「セブン」の続編として書かれていたそうですが、企画が頓挫して独立した作品として扱われたり、ようやく上映できそうだと思ったら配給会社が経営困難になって公開の目処が立たなくなったり…中々に難産な作品だったようです。

鑑賞中「犯人役にせっかくコリン・ファレル起用してるのに、全然出てこねーなぁ…」と思ってましたが、そういう資金的な理由もあったのかもしれませんね。
いや全編通して20分出てるかな?くらいの感じですよ、ほんとに。(笑
それもあってか犯人の考えというか、キャラを描き切れてないよなーと感じるところがあり、個人的にはそこだけ不満でした。

作品の予告編も紹介しておきますので、ぜひご覧ください。
鑑賞後はこの予告編とは全く違う印象を受けることになると思いますよ。

 

 

悪い点も書きましたが、個人的にはおすすめできる作品です。
色んな問題もあり、名作…とはいえませんが、良作だと思います。

ぼくはあのラストシーンの、あのもの悲しさはアンソニー・ホプキンスだからこそ、と思うのです。
アンソニー・ホプキンスが好きなら、一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。

ではまた。